文京区小石川、春日駅・後楽園近くの形成外科・皮膚科。女性医師が、こどもから大人まで、皮膚のトラブルに幅広く対応いたします。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎では、多くの場合アレルギー症状を起こしやすい体質を基礎とし、皮膚にさまざまな刺激が加わって痒みを伴う皮膚炎を生じます。症状は、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、長期間に渡ることがほとんどです。

現代社会においては、年齢性別を問わず悩まれている方が多い病気でもあります。 アトピー性皮膚炎の治療では、皮膚本来の機能を回復させるために必要な日常のスキンケアが最も大切です。その上で、症状に応じた薬物治療を行います。

アトピー性皮膚炎のスキンケア

1. まずは、皮膚の持つバリア機能をだいじにする

皮膚の持つ大切な役割のひとつが、バリア機能です。 皮膚の一番上の層は角質層と呼ばれますが、角質層には約30%の水分が含まれ、肌の張りや柔らかさ、なめらかさの源となっています。そして皮膚の水分量は、皮脂、天然保湿因子、角質細胞間脂質の3つによってほぼ一定に保たれています。

皮脂は皮脂腺から分泌され、汗と混ざり合い、角質の表面を覆います。皮脂には脂肪酸が含まれており、角質表面を弱酸性に保ち、外界から侵入するウイルスや菌を死滅させます。また、水をはじく成分を含む脂質も分泌され、皮膚に柔軟性を持たせ、耐水性を保つ役目を果たします。つまり、皮脂は自分の体が作るうるおいベールであり、保水力の高い天然のクリームでもあるのです。

天然保湿因子はケラチノサイト(角化細胞)が角化する過程でタンパク質から作り出されます。水分を吸着する性質が強く、水分を角質層に供給し、角質層の張りと柔らかさを保つ役割を担っています。

角質細胞間脂質はケラチノサイトの角化の過程で作られる脂質です。角質細胞同士を角質細胞間脂質が結びつけ、間に水分層を挟みこんで層構造を形成します。

このように、角質細胞内で天然保湿因子が水分と結合し、角質細胞間脂質がしっかりと水分を抱き込むことで角質の水分は保たれます。さらにその上にある皮脂膜が肌の表面を覆い、内部の水分蒸発を抑え、外部の刺激から守るという役割を果たしているのです。自分の肌に備わった、こんなにも賢く健気な力を活用しない手はありません。

そのために、是非とも心がけていただきたいのが「洗いすぎないこと」。清潔万歳、お風呂大好きの日本人。ほとんどの方は、体を洗いすぎています。まずは体全体をざっとお湯で流し、臭いの出やすい部分・汚れやすい部分(わき、陰部、足、胸など)のみ、洗浄力の弱い石鹸でピンポイント洗い。体全体に石鹸を使うのは、週2、3回で十分です。後はお湯に入って温まります。極端な長湯も避けてください。

いかがでしょう?
普段の皆さんのお風呂シーンと比べると「洗っていなさすぎる」と感じられるかもしれませんね。しかし、洗い方を変えるだけで、皮脂の状態はずいぶん変わってくるものです。乾燥肌は、皮膚の生活習慣病だと、私は考えています。特にお子さんの場合、生後3カ月ごろから皮脂の分泌は最低量となり、大人のレベルまで回復するのは思春期に入ってからです。アトピー性皮膚炎でお困りのお子さんは、ほぼもれなくカサカサしたお肌をしています。

どうぞ、ここに示した入浴法を試してみてください。ほとんどお金もかかりません。

2. 保湿剤をつかう

自前の皮脂の温存を心がけたのに、やはりカサカサしてしまう方もいらっしゃいます。特に加齢に伴う皮脂の分泌低下は避けられない面もあります。

また、若くても、極端に皮脂の分泌の少ない方もいらっしゃいます。そのような場合、保湿剤が有効です。ひとくちに保湿剤といっても、種類は様々です。

一番単純な保湿剤は白色ワセリンですが、これだけで絶好調!という方もあれば、ワセリンはどうしてもべたべたして使いにくい、という方もあります。保湿剤は、長期にわたって使うことの多い治療薬です。患者さんそれぞれの肌質やライフスタイルに合ったものを見つけるお手伝いをさせていただきます。

お薬による治療

薬物療法では、主にステロイドやタクロリムスといった抗炎症作用のある塗り薬の外用や、抗アレルギー剤の内服でかゆみを抑制します。

ステロイド外用剤について

ステロイドという言葉に抵抗感のある患者さんも多くいらっしゃいますが、ステロイド剤は薬の強さも多様で、症状や使う部位によって適切に使い分ければ、過度に怖がる必要はありません。
かゆみ、赤み等の皮膚炎症状が出ている場合、まずはその炎症を速やかにしずめることが大事です。炎症の原因は、皮膚の免疫機能の暴走です。ステロイドにはこの暴走を食い止める作用があります。かゆみが収まると、ひっかく行動も減り、皮膚の安静が保たれるようになります。
ただし、十分に炎症がしずまる前にステロイドを中止してしまうと、症状はすぐにぶり返してしまいます。ステロイド外用剤の種類や、使用量、使用期間については、患者さんの症状に合わせた細やかな調整が大切です。自己判断で休薬せず、定期的な医師の診察を受けましょう。

抗アレルギー剤の内服について

抗アレルギー剤の飲み薬だけでアトピー性皮膚炎の症状を抑えるのは難しいことも多く、継続的な使用には賛否両論あります。ただ、花粉症の時期に皮膚炎も悪化する場合など、内服が症状の改善に役立つことも少なくありません。眠気などの副作用の少ない薬も増えているので、医師と相談しながら、外用剤と併用するのがよいでしょう。

新しいアトピー性皮膚炎の治療薬について

アトピー性皮膚炎の治療は、2020年代に入ってから選択肢の幅が非常に広がりました。
外用剤では、デルゴシチニブやジファラミストといった、ステロイドとは異なる抗炎症剤が開発され、ステロイド剤に多い副作用の発現リスクを避けやすくなりました。
皮膚炎症状が出てから塗り薬を塗り始めて対処する『リアクティブ治療』ではなく、適切なタイミングで定期的に塗り薬を継続し、よい皮膚の状態を維持し続ける『プロアクティブ治療』を行うことで、結果的に使用するステロイド剤の強さや量を抑えることができるとされています。
また、外用剤による効果が十分に得られない患者さんに対しては、免役の暴走を止めるための内服薬や、注射薬も開発され、処方を受けられるようになっています。こうした薬剤の使用には処方する上での施設基準もあるため、必要な患者さんは適宜当院から該当する施設に紹介させていただいております。アトピー性皮膚炎の患者さんで、こうした薬剤による治療に興味のあるかたは、診察の折、お気軽にご相談ください。

診療時間
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◎:手島院長・非常勤医師(形成外科医)
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手島 玲子 院長|てしまクリニック 形成外科・皮膚科(春日駅・皮膚科)【文京区ドクターズ】

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