クリニックも休みになる年末年始。
お雑煮の下ごしらえで
大根と人参の皮をピーラーでむきむき。
ピーラー
もしくは
スライサー
便利だけど
使うたびに
コワイコワイコワイコワイ……
とおののきながらの作業になります。
なぜなら、これで指をそいで受診した患者さんたちの姿が目に浮かぶから
緊張感みなぎらせているお陰で
まず、自分がケガをすることは無いんですけどね。
昨年末は、いつにも増して包丁やスライサーで指をケガして受診する患者さんの多かったてしまクリニック。
年末年始のように、街中の診療所の大半が休みに突入している中、料理中に指そいじゃったら
めっちゃブルー
というより流血のレッド
といった状態で途方に暮れる方も少なくないことでしょう。
そんな、お気の毒な方のために
今回は、おうちでできるおススメの応急処置方法をお伝えします。
用意するもの
- 料理用ラップ
- ペーパータオル、ガーゼ、ハンカチなど複数枚
- ハイドロコロイド被覆材(キズパワーパッドなど)
痛みと流血でめまい寸前の心をどうにか立て直しつつ以下の手順で頑張ってください。
手順
- 傷口の大きさよりも一回り大きくちぎった料理用ラップを傷口に当てる。
- ラップの上から、ペーパータオルやガーゼ、ハンカチなど吸収力のあるもので包み込む。
- 気合とともに、傷の面に強く圧迫をかけ、止血する。
当てる瞬間はめちやくちゃ痛いはずですがそこを堪えて圧迫していると徐々に楽になります。 - ここダイジ! 圧迫を解除せず、そのまま15分以上押さえ続ける。
途中でチラ見すると、振り出しに戻ってしまいます。 - 15分経ったらそーっとラップを外して覗いてみる。
まだかなりな勢いで出血したら追加で15分圧迫。 - 出血の勢いが弱まったら、傷口をしっかり覆うようにハイドロコロイドを貼る。
ハイドロコロイド自体が出血や浸出液を吸って膨らみ、軽い圧迫効果も得られますが
ここでまだ出血の勢いが強いと、ハイドロコロイドで吸収しきれなくなった分が隙間から漏れてくることがあります。
見た目汚いし、心配になって交換したくなります…….が
治療経験上、この、止血を得る前の段階で頑張ってハイドロコロイドを交換するのは結構骨です。
それは
しっかりくっついたハイドロコロイドを剥がすとき
どうしても皮膚が引っ張られて再出血を来しやすくなるから。
できれば
貼ってあるものはそのままに
溢れて来た汁を吸うためのペーパータオルやガーゼを
ハイドロコロイドの上から当ててあげるだけにして
最低でも1日は交換を待った方がよいと思われます。
汚れたペーパータオルやガーゼは
都度交換してもちろん大丈夫です(これは、傷に直接くっついてはいないから)。
1、2日経つと、血液をサラサラにするための薬を内服している人でも無い限りは、人の身体に自然に備わった血液凝固作用で出血が止まっているはずです。
ここまで来たら、汚れたハイドロコロイドを水で濡らしたりしながら、そーっと剥がし、ついでに傷の周りも綺麗に水洗いして、新しいハイドロコロイドに貼りかえるのを、傷がふさがるまで続けるのみです。
そして
くれぐれも!消毒はしないこと!!
このタイプの傷では、消毒すると悶絶ものの痛みに襲われますし、治りもてきめんに悪くなります。
湿潤治療と、従来の消毒&ガーゼ法とで、痛みも治りも大きな差が出るケガのひとつが
この「指スライサー損傷」だと、自信を持って断言します。
ちなみに
このタイプのケガをして、慌てて救急病院を受診したら、消毒&ガーゼで痛みと格闘ナウ
という気の毒な方。
もし、上に書いたような方法に切り替えたければ
まずはその乾いてくっついたガーゼを除去せねばなりません。
自分でやってみようという勇気のある方は
包帯とガーゼをそーっとそーっと外し、傷口にくっついた最後の一枚は、ぬるま湯をたっぷり張った洗面器に指をひたし、乾いたガーゼを十分にふやかしてから、少しずつはがしてあげてください。
で、
出血した場合は上に書いた「1」から
出血しなかった場合は「6」から始めてみましょう。
健闘を祈ります。