湿潤治療でよくある「困った!」を解説するシリーズ第2弾。今回は「これって膿んでるの?」篇です。
「キズにいいって聞いてキズパワーパッドを貼ってみたんですが、なんだか膿が溜まってきちゃって…..」と言って受診する患者さん。これまた湿潤治療あるあるです。
そんな時の見た目は、だいたい
こんな感じや↓
こんな感じだったりします。↓
シールをはがすと中から薄黄色いドロッとした汁が流れ出した日には
「うひょーーーーー( ゚Д゚)」
と思っても、無理はないビジュアルです。しかも、漏れだしたドロドロが服を汚したりした日には超ブルーなこと間違いなし。
そのドロドロは、膿ではない
しかし、このドロドロ、たいてい膿ではございません。
キズパワーパッドをはじめとするハイドロコロイドは傷から出てくる浸出液を吸収しゲル化します。ドロドロの正体は、この、ゲル化したハイドロコロイド。
ちなみに「膿」は崩壊した白血球や、傷んで崩壊した周囲の組織と生きた細菌やら死んだ細菌やらが渾然一体となったもので両者を見慣れた立場からすると、明らかに見た目や臭いが違います。しかし、一般の方は見分けつかなくても仕方ないのではと思います。
ハイドロコロイドのゲル化は、キズから浸出がある以上当然生じてくるものなので、見た目がアレでも、ある程度は我慢していただくしかありません。キズの表面を浸出液で潤しながら治すのは、湿潤治療の基本でもあるので『浸出液はトモダチ!怖くないよ!!(元ネタわかる人…います?)』の精神でうまいこと付き合う必要もございます。
とは言え漏れだしてしまうのは困りますし、周りが汚れるのもイタダケナイ。
そのような場合は、基本的に前回記事『キズの周りに湿疹パラパラ』の対策法を参考にしてください。
キズの周りに湿疹パラパラ
とは言え、当院をキズやヤケドで受診した患者さんがこの「ドロドロ」を経験すると、次回からは「そんなものなんですよね、確か」と構えていられることも、少なくありません。
『習うより慣れろ』は、真実ですね。