ピアス孔を開けたい!でもその前に
ピアス孔を開けたいというご希望で受診して下さる患者さんが年間通して多いてしまクリニック。
(穴あけに対応しているのは耳たぶのみです。軟骨ピアス、へそピアスその他には対応しておりません。)
てしまクリニックのピアス問診票 質問その①は
「今回が初めてのピアッシングである。 はい ・ いいえ」
このとき「いいえ」に丸が付いていると毎回気を付けて過去のピアッシング後の経過を伺っています。
先日受診された患者さんも、この問いの答えが「いいえ」でした。
患者さんの耳たぶには、ピアス孔が2つ。かつて開けて、しばらく使っていたものの、ここ10年ほどは全く使っておらず
「また新たに開け直そうと思って。」
とのご希望で、最初は、古い孔の外側に新しく孔を開ける予定でペンでデザインしました。
ペイントソフトで古い孔を分かりやすくマーキングしたのがこの写真(赤と青が古い孔の位置)↓
ところが、よくよく話を伺ってみると
「2個目に開けた場所(青い点)は気に入っているのですが同じ場所は無理だと思って……。」
とのこと。
そうなんですね。じゃあ、この穴がまだ使えるかどうか確かめてみましょう。通ってさえいれば、拡張する方法はありますよ。
「え!もう10年も使っていないのですが!!」
まあ、まずは試しにこの細い金属の棒で確かめて……
あ、入った。ならばここに、シリコンピアスを通しましょう。
透明ビーズみたいに見えるのが、治療用シリコンピアス。シリコンピアスの軸は太くてしなやかなので入れっぱなしのまま1か月ほど過ごして頂きます。すると、10年間使っていなかった孔が広がり、前のようにピアスを入れられるようになる見込みです。
「まさか古い孔が使えるなんて!!」
と、患者さんは大変驚いていらっしゃいました。
とは言え、全ての古いピアス孔が使えるとは限らない
「以前使っていたピアス孔がふさがったので新しい孔を開けたい。」
という患者さんは、少なくありません。そのような時、まずは耳たぶをよく見て、触って古い孔の状態を確認しています。
場合によっては、古い孔のところにやや大きいしこり(粉瘤、ケロイドなど)ができていて、新しいピアス孔を開けるよりその治療を先行させねばならないこともあります。
孔を開けたくて受診した患者さんにとってはガッカリな顛末かもしれません。
しかし、適応を判断し、患者さんの健康を出来るだけ損なわないよう配慮するのが、医師であるわたしの務めだと、常に思っています。
そうでなければ、お店でピアッサー買ってきて友達同士で開けあうのと大して違わなくね?
「○○さんが開けたいって言ったから、開けてあげる♡」ってそれ、医者の仕事じゃないっしょ。
終わりのほう、本音出ましたが。そんなこんなで、
何が何でもピアス孔を今日開けたい。
開けてトラブっても構わないから開けたい( ✧Д✧) カッ!!
という勇気あるおひとには、てしまクリニック受診は勧めません。がんこな医者がいますから。