湿潤治療に適したキズの保護剤は、世間で知られているよりも、意外と多種多様です。
あなたの知らないキズ保護剤の世界
ただ、そうは言っても一番目につきやすい保護材は、やはりキズパワーパッドをはじめとする『ハイドロコロイド』です。
再三再四申し上げておりますが、このハイドロコロイド、浸出液を吸収する力がそこまで無い。
キズから出てくる浸出液を味方につけるのが湿潤治療とは言えど、浸出液を吸収して融けたハイドロコロイドがタップンタップンしている様は、当のご本人としてはなかなかハラハラドキドキな状態なのではないでしょうか。
「これ、いつ漏れるの???」
って。
汁漏れ対策あれこれ、その欠点
不用意に滲出液が漏れたら、当然、見た目に汚いだけでなく、服も汚れ、不快です。
汁漏れ対策として単純に思いつくのは、溜まってくる汁をも受け止められるような大きいサイズのハイドロコロイドを当てること。
ただ、この方法には欠点があります。
ひとつは、傷以外の正常皮膚面が広く覆われるのであせもなどのトラブルが起きやすいということ。
キズの周りに湿疹パラパラ
この記事でも書きましたが、正常な皮膚は「排泄器官」でもあるので、不要なものをため込むのはあまりお肌の健康上よろしくありません。
そして、ふたつめの欠点、それは大きいハイドロコロイドは高くつくということ。
キズパワーパッドしかり、このタイプのばんそうこうは普通のカットバンに比べると価格設定がお高めです。出来ることなら一日に何度も交換するのは避けたいのが人情。
しかしながら、浸出液が溜まるとき、シールの中に均等に溜まってくれるわけでもありません。
下の方は縁ギリギリまで来てて決壊寸前なのに、上の方はまだまだイケる感じで「交換するのもったいない….(涙)」となることも、少なくありません。
そんな時、私がおススメしている方法があります。
てしまのおススメ、裏技的対処法
それは
- 汁が漏れる前提で、ハイドロコロイドは傷が露出しないギリギリのサイズで貼る
- 漏れてしまった汁は、上から当てたガーゼなどの吸収力の高いものに吸収させる
こうすることで
- キズの表面はしっかり浸出液で覆われ
- 周りの正常な皮膚は傷まず
- 漏れた汁は吸収されて服を汚さない
と、いいことずくめなのです。
難点は、ハイドロコロイド1枚当てるのと比べれば、患部の保護がガーゼを重ねる分、モッサリと厚みが出てしまうことくらい。
下の写真は、この方法で脛の低温やけどを治療中の方の足。ハイドロコロイドの縁ギリギリまで浸出液が来ていますが、上から当てた白いガーゼが、漏れても守ってくれます。
いかがでしょう?
汁の扱いに困りがちなハイドロコロイドですが、こんな方法で少しは快適に過ごせるのではないでしょうか。
注意点
ただし、ハイドロコロイドで傷の手当てをしていて汁漏れが多いとき、感染が潜んでいることもあります。また、汁漏れが多いこと自体、キズが深いことの表れとも言えます。そもそも何でもかんでもハイドロコロイドで何とかなるというものではありません。
「これ大丈夫かな?」と感じた時には、病院を受診して治療を受けるのが肝要である
という基本は、忘れずにいてくださいね。